サイバーホビー白箱 #6660 1/35 ティーガーI中期型(1944年1月生産車)指揮型

白箱ながら、ドラゴン初のティーガーI中期型です。初期型〜中期型〜後期型というのは、識別上の便宜的な呼び方ですが、大雑把に言って、新型キューポラを装備したのが中期型、鋼製転輪を装備したのが後期型です。中期型は43年7月頃から44年1月頃まで生産され、その間にも細かい改良が絶えず施されましたので、一口に中期型と言っても細かいところが変遷していきます。

このページでは、グランドパワー2007年6月別冊「ティーガーI(1)」を元に解説してみたいと思います。本書はティーガーに造詣が深い寺田氏の解説を中心に解りやすくまとまっており、模型作りに大変有用な一冊だと思います。

ドラゴンのキットは「1944年1月生産車」とアナウンスされましたが、パッケージには「43年冬生産車」となっています。おそらく、20トンジャッキの搭載が始まった時期を厳密に解釈して1944年1月としたのでしょうが、ジャッキは後付けで搭載することもある訳ですから、ストレートに作る場合は、トラベリングロックの搭載が始まった1943年11月以降〜全鋼製転輪の装備が始まる1944年2月以前のティーガーIと考えて良いと思います。隅々まで考証の行き届いたキットですので、この時期の生産車とするなら、小難しい資料を参照して考証をする必要は一切ありません。もちろん、実車の変遷に詳しい方なら、多少手を加えることで、もっと以前の中期型を作ることも可能でしょう。

「初期型の転輪と後期型の車体を合わせただけの商品じゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本キットは転輪は完全に新規、車体(シャーシ含む)も前面装甲板以外新規、砲塔本体と砲塔上面や防循も新規と、かなり気合いの入った製品になっています。結局流用部品はOVMなどの小物にとどまります。細かいところですが、牽引ワイヤーの留め方が中期型と後期型では微妙に異なっており(前掲書P.40-P.41参照)、本キットは、牽引ワイヤーのパーツは新規で中期型相当がセットされています。その他、エンジンスターター取付金具のデザインやOVMの取付位置なども、細かく見直されています。


ティーガーIの指揮型は搭載無線機の種類によってSd.Kfz.267と268の二種類があり、見本のSd.Kfz.267は上級司令部と交信するための無線機を搭載しており、車体右側にシュテルン(星形)アンテナを搭載していました。これに対し、Sd.Kfz.268は航空部隊との交信が出来る無線機を搭載しており、この場合、車体左側のアンテナポストに1.4メートルのロッドアンテナを立てています(右側のシュテルンアンテナは立てません)。267、268ともアンテナポスト自体は両方装備しているようです。

リアパネルに斜めに装備してあるパイプ状のケースは、シュテルンアンテナの利得を増やすための延長ロッドが収納されているようです。
予備履帯ラック止め金具は、履帯が外れた状態のパーツ(V13)も新規にセットされました。

キットは指揮型と銘打たれていますが、防循に機銃口の開いている通常型の防循が不要パーツとして入っており、指揮型の特徴であるアンテナポストは隠し穴になっていますから、通常タイプとして組むことも簡単にできます。
細かいことですが、前掲書によると、オノの位置は、中期型では(初期型と同じく)スコップの後ろで車体中心線上にある、と言うのが最近の説なんだそうです。

この時期のティーガーの特徴として後部にトラベリングロックが装備されていることが上げられます。トラベリングロック自体は有効だったようですが、砲塔を後部に回す必要があり、かつ解除のため乗員が外に出る必要があったため、実戦ではあまり使われていなかったようです。後期型ではトラベリングロックは廃止されてしまいます。

これまた細かいところで恐縮ですが、アイプレート(ジャッキを噛ませるための台座)の形状も見直されて、中期型となっています。

転輪は、極初期型と中期型は同じですから必ずしも作り直す必要はなかったと思うのですが、丸ごと新規になっています。ご存じのように、初期型〜中期型のティーガーIは鉄道輸送時に一番外側の転輪を外すことになっていますが、本キットでは、外側の転輪を外した状態にするためのパーツが外側転輪の数入っていますので、モデルカステンなどの鉄道輸送履帯を購入すれば、鉄道輸送状態が再現できます。
新しく作られた転輪パーツは、タイヤのロゴマークが一段と繊細になっている他、タイヤメーカーが異なる二種類が入っており、混ぜ履き状態で組み上がるようになっています。
Q9/Q10とQ7/Q8、Q5/Q6、Q1/Q2はそれぞれタイヤロゴの違いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

○転輪Q9/Q10の取付穴の入り口が少しきついようで、そのままではサスアームが奥まで入りません。接着前に穴を広げておきます。
○側面装甲U2/U3のダボと車体上面に一体成型されている牽引ワイヤー取付金具の位置が少しずれてしまうようですので、取付時に調整します。
○車体左側のアンテナポストを取り付けるための隠し穴を開ける指示が漏れています。
○ローダーズペリスコープS2の取付指示が漏れています。